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大腸の検査
大腸がんについて
戦後、日本人の胃ガンによる死亡率が大きく減少しました。これはさまざまな要因(手術の進歩、術後管理の進歩、抗癌剤の進歩など)が言われていますが、最大の理由は、患者さんが胃ガンの心配から積極的に検査を行なうようになってきた為、胃カメラの進歩、胃カメラを施行する診療所の増加という面から、早期発見、早期治療が行われるようになってきたからです。しかし日本が欧米化し肉食が多くなるにつれ、大腸ガンによる死亡率が増加してきました。
大腸ガンの検査は現在、「便潜血検査」で満足されている方が非常に多いのが現状です。これは専用の容器に便をつけ提出し、便の中に血液が混ざっていないかをしらべる検査です。 開発当初は画期的な検査方法といわれていましたが、当然のことながら出血していないような小さなガンや前癌病変のポリープでは、なかなか陽性にはでません。また肛門の疾患(イボ痔、切れ痔)でも陽性として検出されてしまうという問題が明らかになってきました。バリウムによる検査は小さなポリープを検出することが難しく、検査後の頑固な便秘に悩まされる方も多い検査です。また実際ポリープが見つかっても、切除することはできません。
大腸ガンは前癌病変(ポリープ)のうちに内視鏡によって切除すればガンを予防できます。 また、ポリープがたとえガンになっていても早期(粘膜内癌)に発見できたら完全に内視鏡にて切除し治すことができます。大腸内視鏡検査は現在大腸ガンを予防するためでも早期大腸ガンを治すうえでも最も有効的な検査なのです。
胃でも大腸でもガンにならないようにすることは現在の医療技術ではまだ不可能です。症状がある方はもちろん、症状がなくても定期的な検査をすることで早期発見、早期治療を心がけることが今のところガンに対する最善の対処と言えるでしょう。
【大腸検査の特長と欠点】
| 特 長 | 欠 点 | |
|---|---|---|
| 血液検査 | 簡単、医師の技術を要しない | 早期発見には役に立たない。 |
| 遺伝子診断 | ガンの本質にせまる検査 | まだ実験段階 |
| 便潜血検査 | 簡単、医師の技術を要しない | 早期発見には役に立たない。 痔でも陽性になる。 |
| バリウム検査 | 現在では補助的な意義しかない | 医師の技術で正確さ、苦痛が大きく異なる。 下剤の準備が必要。見落としがある。 |
| 内視鏡検査 | ガンを確実に診断できる。 同時にポリープ切除もできる。 |
医師の技術で正確さ、苦痛が大きく異なる。 下剤の準備が必要。 |
注腸検査から大腸カメラへ
大腸におけるバリウムの検査は注腸検査といいます。大腸カメラが普及されるまでは大腸検査の主役でした。強烈な下剤を施行し腸の中をきれいにし、おしりからバリウムをいれます。大腸にポリープ(隆起性病変)があるとそこだけバリウムがはじかれてぬけます(陰影欠損)。
バリウムの検査をするための準備(全処置)は内視鏡とほぼ同じです。しかし以下のような問題点のため、現在では大腸専門病院(専門施設)では内視鏡が主役になり、注腸検査は、病変の発見された場合、それが開腹手術(腹腔鏡手術)の必要性がある場合の補助的診断として行われるようになりました。
- 【検査の特長と欠点】
- ・ 放射線被爆が多い
- ・ 腸に大量の空気を送入し腸をふくらませるため苦痛が大きい
- ・ S字結腸における腸の重なりに病変がある場合、死角となり見にくい
- ・ 空気や便がポリープとして見誤られる場合がある
- ・ たとえポリープが見つかっても切除ができない
- ・ 施行後バリウムが腸内に固まり、便秘の方はより一層便秘がひどくなる
大腸内視鏡の専門家がおこなえば、注腸よりも内視鏡の方が正確で苦痛が少ないのですが、注腸は専門家がいない場合の次善の方法と位置付けられています。
かつて胃の検査は「まずバリウム、次にカメラ」というスタイルでしたが、今日このような方式をとる病院はほとんど、ありません。しかし大腸では専門病院以外では、まだまだ「まずバリウム、次にカメラ」といういうスタイルの施設があります。理由は内視鏡の専門医が不足しているためです。
便検査とは
便の中の見えない血液を試薬で調べるのが便潜血検査です。食事で採った肉などに反応してしまう試薬を使っていた時代もありましたが、現在はヒトの血液のみに反応する試薬を用いています。
陽性となった場合は精密検査をすることになっています。しかし怖いのは大腸の病気があっても出血していなければ陽性とはならないことです!
早期の大腸がんやポリープでは出血により便検査が陽性になることは逆に珍しいのです。つまり、便潜血がもし癌により陽性になっているとしたら、その癌はもはや出血までしている進行癌の可能性が高いことになるのです。
また痔でも陽性になってしまいます。自分で自覚症状の無い痔の方の頻度はかなりいらっしゃるので、不必要なガンの心配、不必要な検査がおこなわれることになる ことも事実です。
「便検査」は簡単な検査なので広く普及していますが、精密検査を担当する内視鏡専門医が十分な数いないのが現在の状況であり、また不慣れな大腸カメラの挿入から患者様に苦痛を与えてしまい、「大腸カメラは痛い!」というイメージを植え付けてしまったことも事実なのです。
専門医としての考え
前述のような問題から大腸の専門施設(大腸を専門に扱っている施設は少ないですが・・・s)が患者さんに便潜血検査を勧めることはまずありえません。特に大腸がんチェック により大腸がんの心配が強い方は便検査でなく最初から精密検査をされることをお勧めします。もっとも信頼性の高い精密検査は大腸の内視鏡検査です。

